*
1人で留守番していた土曜日。
テレビを見てたら家の固定電話が珍しく鳴った。
誰、だろう…
よくわからないセールス電話とかだったら嫌だなぁと思いつつ、
「はい」
『あ、百瀬さんのお宅でしょうか。山咲千景がお世話になってます。私、千景の父です』
電話の向こうは千景くんのお父さんだと名乗る男の人。
お、お父さんって!
驚き過ぎて落としそうになり、思わず受話器に両手を添えてしまう。
「こ、こんにちは! 私、千景くんと保育園で同じだった愛生です」
『あぁ、愛生ちゃん! 元気かな、愛生ちゃんに直接会ったのは卒園式が最後だからもう何年前だろ…』
「10年ぐらいですかね、お元気でしたか?」
『仕事柄、転々としてること多いけど元気にやってるよ。あー、千景……近くにいるかな』
「あ……千景くんは今出かけていて…」