「なんで、くっつくの千景くん」


「落ち着く。このまま眠れそう」


「……ばか」




私の呟いた声は届いたのか、ないのか。


本当にすぐに小さな寝息を立て始めた千景くん。



もうー…っ!



緊張の糸がほどけてクスッと笑ってしまった。



ずるいよね、千景くん。



どんどん好きにさせてることわかってる?



そんなことするのに彼は本気になってくれない。



ほんと、ひどい人。




「本気になってよ」



囁くように落とした言葉。


肩に乗っかって来た頭を見て、どうせ誰も見てないから、と。


柔らかい髪にそっと口づけた。