また泣きそうになってくる。
顔がこわばっていく。
口を塞がれたままで少し後ろにひねれば、千景くんと目があう。
「…愛生」
しょうがないなって表情の千景くん。
横になっていたけど体勢を変えて、私を足の間に挟むように座り直す。
はぁ。
距離感バグってるのかなぁ、ほんとに……!
呆れていたら、急に体が浮いて、
「ひゃっ……」
千景くんに持ち上げられて、床から座り心地のいいソファへ。
また私を足の間に座らせて後ろから抱きしめるようにする。
こんなことされて平常心でなんかいられるわけがない。
この距離だと胸の音まで聞こえてしまうんじゃないの?
緊張が走って体が強張ってるのだって、きっと千景くんにまで伝わってそう。