「千景くん、出て行ったりしないよね」
「まぁ、出てってほしいなら、愛生のお母さんたちに状況説明して承諾…」
「ダメ!」
冷蔵庫に買ってきたものを入れていた千景くん。
そこまで走っていって、強く腕を掴んだ。
あ…久々に真正面から顔見た気がする。
「愛生、痛い」
「はっ、ごめんね…!」
つい必死になっちゃって、手加減できてなかったみたいで申し訳ない。
冷静になろう冷静にー…!
そっと深呼吸をしてると千景くんは冷蔵庫の中を覗き込みながら、
「…ここにいる。出てかねーから安心しろ」
そう言った千景くんの顔は見えず。
でも、その言葉だけでもう嬉しくて嬉しくて、抱きついてしまった。