「あ…千景くん、いってらっしゃい」



階段を下りていたら、ちょうど玄関に千景くんの姿が。


思わず声をかけてしまった。


誰とどこに行くとか教え合う義務はないけど…千景くん、お出かけかな?


今日はお休みだもんね。



「……や、今帰ってきたところ」



そう言った千景くんの手には膨れた買い物バッグがちゃんとあった。


間違えた…!


てっきり、これから外出なのかと!



実は二度寝してさっき起きたばっかの私。


玄関を開ける音なんてまったく聞こえてなかったな。


じゃあ、おかえりって言い直そう!


そう思って改めて見つめたら、



「ただいま」



小さく笑う千景くんが横を通りすぎていく。