ーー放課後




「大知先輩にちゃんと会って帰れよ、愛生」




帰りの支度をしていると後ろからそんな声が聞こえて来た。



…千景くんが本当にわからない……。



ふった彼女になんのおせっかいだ。




保健室で着替えを済ませた私はあの後すぐに教室に戻って、途中から授業に参加をした。



千景くんも席についているのを見て、さっきまでの出来事を思い出さないように必死だったことを覚えている。



顔もまっすぐに見れないぐらいなのに、千景くんはそんなことないみたいで。



あんなことしてきたのに。


ケロッとしてる。




「……うん」



無言でいると何回も言われそうだからとりあえず返事。



…ん?


朝に先輩から連絡きたこと、なぜ千景くんが知ってるの。



そう思ってたところに、



「大知先輩なぜか俺にも連絡してきて」


「へぇ…」


「帰りは送ってもらえ」


「……ひとりで帰る」




顔も見ずに先に教室を出ようとした。



送ってもらえなんて、そんな彼氏に頼むような言い方しないでよ。