先生に視線を向けた後、もう一度私を見下ろす千景くん。



胸の音が、バクバクうるさい。



ここから千景くんの顔を眺めるって、ドキドキしてしかたない。



「邪魔入っちゃった」


「っ……早く…!」




どいて、って言いたかったのに。



声にもならず、消えた。



千景くんが一気に距離を縮めて来る。



ふわっとその髪が私の顔にくすぐったさを落として行く。



唇に触れるまできっともうあと何センチもない。



だけど触れては来ず。


2人の間で千景くんの唇が小さく動いたような感じがした。



「ーー…」



待って、呼吸困難。