「――おい、愛生。起きてんの?学校一緒に行く?」
「……ん…?」
開いたカーテンからは日差しが入り込んでいて寝起きには眩しすぎるほど。
立っている人物に目をこらして、認識するとくるっと背中を向けた。
「……行かない。もうずっと一緒に行かない」
「あっそ」
「早く出てください。部屋に勝手に入ってこないで」
「はいはい」
「…………」
「制服でそのまま寝落ちってシワになるぞ」
そんなこと、言われなくたって。
わかってる。
千景くんがこうやって普通を装って話しかけてくれるのも同居人の優しさだ。
…わかってるけど。
千景くん
そんな普通でいられるんだね。
かわいそうに思うんだったら振ってほしくなんかなかった。
夢を見させ続けてほしかった。
……こんな、どうしようもないことばかり出てくる。