のどの奥が詰まったようになにも出てこない。


今無理にしゃべったら泣き出しちゃいそうで。



俯いたまま乱暴にローファーを脱ぎ捨てて階段を駆け足で上っていった。




――「私のこと、どう思ってる?」


――「…考えてる、愛生のこと」




考えた結果がこれなの?




「っ……ふっ……うぅ~…っ」




机に手をついて顔を下に向けたと同時にポタポタと雫が落ちていく。


肩にかけていたカバンがずり落ちて机の上に乗っかる。


ドンっと、

その振動で積み上げていたものが雪崩れてきた。



「っ、もう…っ」




ぼやける視界で散らばったものをかき集めていた手が止まる。



暗がりでもわかるぐらいにそれは見続けてきたもので。



宝物。


卒園式の時にもらったバレッタと


届くことのない千景くん宛の書き溜めた手紙たち。