人の波が改札を流れていく様子をぼんやりと眺めていると覚えのある顔を発見した。



「千景くんっ!」



見つけるなりすぐに駆け寄ってく。



イヤホンをしていたから遠くから呼ぶだけじゃ聞こえなそうだから。



隣に並んで、ぽんと肩に手を置いた。



「千景くん、みっけ!」


「っ…!」



振り向いたその顔は私を映すなり、足を止めてしまうほどに驚いたようで。


だけど、ここは道の端っこでもなく、人が慌ただしく行き来している場所だった。



「帰ろ?」


「大志から聞いてたけどマジでいたのかよ……。門限破り」


「千景くんもだよ!」



手を引いて歩き出す私についてきてくれる。


振り払われないことも、うれしい。


さぁ、家に帰ろ一緒に。




「ラーメンおいしかった?」


「うん」


「私も行きたかったなー」


「じゃあ次は先輩と行ってこい」


「えー……千景くんも行くでしょ?」