『愛生ちゃん、いま千景と一緒?』


「一緒じゃない。でも、千景くんのこと駅で待ってる」


『そっか。…健気だよねー、愛生ちゃん』


「なんで私に電話くれたの?」


『いや…千景とやりとりしてて、愛生ちゃん一人で帰したとか言うから。2人ケンカでもしたんかと』


「千景くんと先輩だけでラーメン行っちゃってさ、もう聞いてよ、前園くんーー」


『あーうん!わかった!後は明日学校で聞く。じゃね』




ブチっと通話終了。


心配して電話くれたわりに終わりあっさり。



…前園くんってそんな感じだから今さら気にしたって遅い。



暗くなった画面に自分の顔が映って、1日の終わりの疲れた顔に自分でも驚いた。



力なくぶらんと手をおろす。



まだかな、千景くん。


……帰ってくるよね、千景くん。