少しして「マキちゃんおはよ〜」って、聖菜ちゃんのおかえりだ。
チラッと千景くんを振り返ってみる。
頬杖ついて窓の外眺めてて私の視線には気づいてない。
顎のラインだとか鼻筋が目立つ横顔だとか。
あいかわらずかっこいい……。
今日もお顔がいいです。
そっと前に向き直り、緩む口元を隠そうと両手で押さえながら先生がやってくるのを待っていた。
学校でも近くにいる。
こんな小さなことでも幸せを感じていたのに。
彼氏彼女だと周りからそう見えてても本当は違う。
揺るぎない関係なんかじゃ、ない。
不安定な土台が崩れていくのはとても簡単。
私たちがそうなってしまうなんて、考えたくないな。