「前に保健室で寝たとき、千景くんがそんなこと言ってたかもって今ふいに思い出した。大丈夫?ベッド合わないかな?あ、枕とか?」
「……あのさ、そんな心配するようなことじゃないから。俺が言ったことたぶん寝言かなんかじゃね? だって俺が覚えてない」
さすがにしつこかったのか。
朝食時、千景くんにぴしゃりと言われ、私は頷き返すことしかできなかった。
「愛生も大丈夫なの」
「私?」
「昨日泣いてたから目腫れてたりは?」
「あー……」
そんなことありましたね。
泣き顔なんて見せたくなかったなぁ。
だって、千景くん絶対面倒くさいって内心ずっと思ってたと思う。
「大丈夫。全然問題なし」
「目腫らして学校行ったらまず丸山さんがうるさそう。そんで絶対に俺が一番に怒られる」
「聖菜ちゃんはすぐに怒ったりしないよ」
「や、愛生のことになると別人だからあの人」
そうかな?
千景くんからはそう見えるのか…。