市橋くん、ひとりでいることが多いだけで、べつに話すことが嫌いってわけでもなさそうだ。
班も一緒になったことだし、みんなで仲良くなっていけたらいいなぁ。
「はい、これノート!」
「ありがと聖菜ちゃん」
席に着いてすぐ昨日の分のノートを貸してもらった。
すぐに写して千景くんに渡さなきゃ。
よし!
さあやるぞって時に後ろから肩を叩かれて振り返ってみると。
「俺のもよろしく」
「えっ…私の字が読めないって後で文句言われても困るから嫌です」
「そんな字汚いんだっけ?」
自分のノートに視線を落とす。
いや、うん……どうだろうこれ。
私は自分さえ読めればいいって人なのでね……。
「どれ」
私の肩越しにノートを覗き込んでくる千景くん。