「市橋くんおはよ」
「おはよう〜」
いつもは後方のドアから教室に入るけど、今日は前から。
さっそくドア付近の市橋くんに挨拶すると「おはよう…」って戸惑いの表情をもらった。
「ごめんね、邪魔した?」
「マンガ読んでただけだから、大丈夫です」
向けられたスマホの画面、少し知ってるような…?
「……あ!それ千景くんも同じもの読んでる気がするよ」
家でスマホで読んでたのを見た気がする。
ね?と千景くんを見た。
「市橋が読んでんのそれ最新巻?」
「うん。……あ、ごめん名前…?」
「こいつは、山咲千景!千景って呼ぶと喜ぶから!」
市橋くんの席を囲んでいると、近くで見てた子たちの声が聞こえてきた。
「えっ、なんであの4人が市橋くんに話しかけてるの?」
「一緒の班になったってマジだったん!?」
「千景くんに名前呼んでもらえるとか羨ましすぎ!!」
わぁー…やっぱり千景くん、ね。
なにしても目立つなぁ。