愛生が知らない10年、俺も俺でいろいろあった。 大事な人が自分の元から去って行く痛みなんて、もう二度目は味わいたくない。 だから、 大事なものになりそうなら、手遅れになる前に。 「…愛生」 その頬を指で撫でればピクッと反応した。 「……ん…なっ、なんで隣……っ?」 あ、お目覚め。 だけど、ごめん。 今度は俺がそろそろ寝そうなんだわ。 愛生の寝顔を眺めて珍しくいろいろ考えてたら、眠くなってきた。