「んー…日付が変わる前に帰るよー…だって、千景くんが待ってる…んだもん」
もぞもぞ何か言い始めたと思ったら、はっきりした言葉になる。
寝てんのによく喋る奴だな…
てかそれ、この前言ってたやつじゃん。
愛生まだ覚えてんのかな。
あれ、嬉しかったよ実は。
愛生が他校の奴らと遊び行って、門限前に帰ってきた日。
ーー日付が変わる前に絶対帰ってくるよ!だって、千景くんが待ってるんだから
べつに待ってるなんて言ってねーけど。
でも愛生は俺が家にいるって、忘れてなかった。
昔の記憶とリンクする。
俺は、あの人にそう言って欲しかったのかもしれない。