「すみません。そこどいてもらえますか」
近くからしたその声は私たちに向けられたものだった。
あ、ロッカー少し塞いじゃってた…すみません!
「ごめん、どーぞ!…あ、市橋はオリエンテーションの班決まった?」
「……まだです」
「そっかー」
「…………」
「あ、彼女から返信きた」
えっ…ちょっと、前園くん
そこで会話終了?
聞くだけ聞いておいて興味なし?
切り替え早いというか、自分の持っているスマホにもう意識いっちゃってる!
おいっ〜…!
なぜかこっちがどうしようって気分だよ今!
ロッカーから教科書を取り出すその男子と前園くんを交互に見てみる。
班決めは今日の放課後までなのにまだ誰とも組む予定ないって……大丈夫、なのかな?