ふと視線をあげたら、ちょうど千景くんもこっちを見ていて。
さっと、わざとらしいくらいにそらしてしまった。
うっ、静かになっちゃったら途端に変に意識し出した…!
「……寝不足? 目のクマ目立ってる」
気づかないで!
いわないで!
「ん?ま、まぁ…」
「あ、そういや茜さんが、愛生は早寝早起、守ってるのかって心配してた」
「ええ…?ママそんなこといちいち千景くんに聞かなくていいのに」
言えない。
昨日のキスを何回も思い出して全然眠れませんでした、なんて……言えない。
言ったら笑われるに決まってる。
だって、ほら。
千景くんはなにも気にしていないようで、平然としているし。
あんな軽いキスそんな心動かされるようなものでもないってことですかい。