寝てると思ってた人が突然しゃべりだすんだから、びっくりだ。
むくりと起き上がった千景くんは小さくあくびして、眠たそうな目をこちらに向けてくる。
「なんだ、早いじゃん。朝帰りでもよかったのに」
「朝って…!日付が変わる前に絶対帰ってくるよ!だって、千景くんが待ってるんだから」
べつに待ってるなんて言ってないし、なんてつれない返答を予想していたのだけど。
千景くんは、
なぜか少し驚いたような顔をして固まった。
なんだろう、寝起きで頭働いてないとか…?
それはそれで、なんかかわいいねって心の中で思いながら緩んだ顔で、
「千景くん、ただいま」
なんてことない日常のやりとり。
なんだけど、今日の ただいま は、ちょっと違う気がする。
にこにこしながら、見上げていたら突然ふわっと包み込まれた。
「…おかえり、愛生」