鍵を開けて玄関先から叫んだ。



あれ……反応ない?



こんな静かな家の中で聞こえないわけがないのに。



あぁ、わかった。わかりましたよ。



無視ですね? 千景くん。



もう、ひどいなぁ。


きっと聞こえてるのに。


リビングの電気がついているから自分の部屋にいるというわけでもないみたいだし。




「……千景くん?」




テレビも電気もつけっぱなし。


ソファに横になっている人ひとり。



こちらに背を向けている千景くんの顔が見えないけど、たぶんあれは寝てる。



小さくうずくまっているのか、丸くなっている背中がなんだか愛おしい。