さささっと自分の席に戻って行くマキちゃんを見てから、私は後ろに振り返った。
「千景くん! 門限間に合わないから無理だよ」
「あー、1日ぐらい黙っといてやるよ」
そ、そういう気遣いはいらないから!
ああ、どうしよ。
マキちゃんすごい嬉しそうにしちゃってるし、もう断りづらい雰囲気しかないんだけど!
「あ、彼氏の許可をいただいた理由は明日遊ぶメンバーに男子もいるからだよ〜。マキ、ちゃんと言ったからね? あとで喧嘩とかナシだからね?」
指でバツを作ってこちらに向けてくるマキちゃんはニコッと笑って前に向きなおる。
男子もいるんだ…。
そう思ってたら、小さく笑う声が後ろから聞こえた。
千景くんがどんな顔をしてるのかもうなんとなくわかるよ……。
もう一度振り返ってみれば、
ほら。
なんでそんなに楽しそうなんだか。
「へぇ、いいじゃん。俺を本気にさせる方法でも勉強してきたら?」