はいはい、ありがとねーなんて、安定の棒読みな千景くん。
また適当だな…!
「ちゃんと真面目に受け取って!」
本気度を伝えたくて、ぎゅーっと腕にきつく力を入れてみた。
どうだ、伝わったか!
「もっとくっつきたいってこと?」
「ひゃっ……!」
耳元でイタズラに囁く低い声。
吐息と微かに触れた唇に、そこからじわじわと熱が再び広がっていく。
耳、食べられるんじゃないかって思った……!
って。
私なに思っちゃってるの!?
絶対に今のは千景くんに言えない。
絶対言わない。
「あ、今の声いい。耳弱い?」
「やめっ……」
赤くなる顔をもうこれ以上見せたくなくて、なんとか腕から脱出成功。
私をからかう千景くんのこの調子は相変わらずでした。