「べつに…挨拶されたらそれぐらい返すだろ」


「そ、そっか……」



スッと向けられた視線の鋭さにびっくりする。


冷静になってよく考えろ、と言われてるみたい。


そんぐらいのことを気にするなんて、面倒くさいよね…。



でも気になっちゃうだもん。しょうがないじゃん。



しばらく俯き加減で納得してなさそうな私に小さく息をつく千景くん。



あ、そろそろこれ以上はやばいかな…と、


視線をあげてみると頬杖ついてこっちを見ていた。




「今日会ったのは偶然だろ。もう連絡先も知らねーし」



意外にもやさしげな表情で。


しょーがないなーって感じで。



そんな顔に胸がきゅっとなって、たまらなくなる。