パッと私から手を離す千景くん。
立膝の姿勢になり、玄関前という変な場所でくつろぎ始めた。
うっ…
ドキドキしすぎて胸が苦しいよ私は!
拘束する手から解放されて、ぎこちないロボットのように顔を背ける。
まだまだ顔が赤いままで、もう今さら隠したって意味ないと思うけどさ。
お願いだから早く戻って来て平常心!
両頬に残る温もりに重ねるように、手の甲を当てて俯く。
「同情か、俺が誰にも本気になれないのを見て可哀想に思ったから好きだよなんて言って彼女になりたいって言ってくれたのかと思った」
「なんでそうなるの!大好きだよ!」
千景くん、そんなこと思ってたの!?
たしかに勢いで好きだよって言っちゃった感じもあるけど。
だけど、本気で好きって思ってるよ、ちゃんと!
「……ふーん」
「っ……」
私の本気を流すな、千景くん!