「ただいまー……」
住み慣れた自分の家なのに、よそよそしいな私。
千景くんはー…
まだ、帰ってきてないみたい。
靴がないのを見て千景くんがいないことを知る。
ちょっと緊張していたから気が抜けて、ドサっと音を立て座り込んだ。
千景くんが帰ってきたらまずなんて言おう。
まぁまずは、ごめんね、だよね…。
靴紐をほどこうと手をかけた時、玄関の扉が開いて顔をあげる。
私を見ても表情ひとつ変えない千景くんのお帰りです。
「…………」
「…………」
目はちゃんと合っているのにお互いなにも言葉を発しない。
それが数秒続いて、千景くんは鍵を閉めると私の隣に腰を下ろした。
距離感を間違えたのか、
それともわざとなのか。
ドンっとぶつかってきて私の体は右に揺れる。
い、痛い…!
「すっげー探した」