はぁ…。
いつまでも自販機でがっくりしてるわけにもいかないね。
そろそろ戻らないと、気を取り直して千景くんがいるベンチへ向かう。
「おまたせ、千景く……」
視線の先の光景に絶句。
ベンチには変わらず千景くんの姿があって。
だけど、その隣には深山さんがいた。
自分の彼氏が他の女の子とキスしてるところを目の前で見ちゃうなんて、そんなことってある?
「っ……千景くん……?」
声が震える。
大好きな名前を呼ぶのに声が小さくて届いてないのか振り向いてくれない。
こっち見て。
ねえ、千景くん。
私たちまだ始まったばかりなのに、さっそくよそ見なんて、そんなのないんじゃない?
今、千景くんの視界はきっとあの子でいっぱいだ。
こんな時は、どうしたらいいの。
どんな顔をしていれば千景くんが本気になっちゃうような彼女になれるの。