「ご、ごめんね、見失った……」


「振り返ったらいないからビビった。アナウンスで呼び出してやろーかと考えた」


「迷子のやつでしょ!? やめてよ、電話してください!」



掴んだ手を引き寄せられて一歩、千景くんとの距離が縮まる。



「もう離れないように、ね」



ドキドキと自分でもわかるぐらいに音が響いて、それに加えて体の熱さも増してくる。


自分がすることが私をドキドキさせてるって千景くんは自覚してるよね。


無自覚だったら恐ろしいよ……。


でも、モテるしそこらへんは知っててやってるんだろうなぁ。



「手、嫌なの?」


「ううん!?ありがとう!」