「――ごちそうさまでした」


「ごちそうさまでした。じゃ、一時間後目安にね」


「はーい!」




どんな格好していこうかな。


普段は制服ばかり着ているからこんな休みの日ぐらいにしか自分の好きなものを着られない。


私の楽しみ。



そして、一時間後。



「時間通りだな。準備できたんなら行くか」



先にリビングにいた千景くんは下りてきた私を見てスマホをいじるのをやめ、立ち上がった。



「千景くん、帽子も似合うね~!」


「これ寝癖隠し…」


「そうなの?」



うん、と小さく笑った横顔に胸がきゅんとなる。


そうやって、もっと笑ってほしいなー…



玄関先でふたり並んで靴を履いてる最中なんだけど、私は横に顔を向けたまま動けないでいた。



「早く靴紐結べよ」


「あ、うん……っ」