不意打ちだ、と言いたげに目を丸くする千景くん。


でもすぐ、呆れたような顔になった。




「愛生、おまえ俺のこと、好き?」


「私の好きな人は、ずっと千景くんなんだよ」


「だから……俺は誰にも本気になんないってさっきも」


「私を彼女にしてみないとわかんないでしょ!」



ぎゅっと掴んだままの手が小さく震えてる。


こんな必死になることも、衝動のままに動いちゃうことも、慣れっこじゃない。


千景くんだから。


千景くんが、好きだから。


誰にも本気になれないと思ってる千景くんに、はいそーなんですか、じゃあ諦めます…って。

なれるわけがない。


揺るがない気持ちなんだもん。



千景くんの一番近くに私がいてあげたいんだ。