駅までの帰り道、前園くんがいろいろと話を振ってくれるおかげで不穏な雰囲気にはならず。


また連休明けね、っていつも通りの様子で解散。



あぁ〜


ここから千景くんとふたりになっちゃう。


普通になにもなかったように、気にしないでいる方が平和なんだろうけど…


むりだ。考えちゃう。


千景くんは、さっきので答えたつもりなの?


私は一線を引かれたの?



「愛生」


「……え?」


「ボケッとすんなバーカ」


「あたっ!で、デコピン!?」



おでこを軽くもう一回弾いて、千景くんは私の横を通り過ぎていく。


どうやら次来る電車は反対側の方らしい。



…待って、千景くん。


気づけば私はシャツの裾を掴んで、引き止めていた。



「千景くんの彼女になりたい」