かずにぃは、私を真向かいに座らせると真剣な目で私を見つめる。

「オレさ、大学の受験勉強の時、白楽天の『長恨歌』って言うのを読んだんだ。

その中にさ、『比翼の鳥』って言うのが出てくるんだけど、オレ、これにすごく感動してさ」

「ヒヨクノトリ?」

「 雌鳥と雄鳥がそれぞれ目と翼を一つだけ持っていて、その二羽はいつもぴったりとくっついて飛ぶらしいんだ」

「え?!本当にそんな鳥がいるの?」

「いや、空想上の鳥らしいんだけどさ。

つまり、それだけ、『夫婦仲が良い』ってことのたとえらしい」

「そうなの……」

私の反応にかずにぃは苦い顔をして「ばぁ~か」と私の頭を小突きながら笑う。