「……私ね」

緊張して震える声を抑えようと息を飲む。

「私、病院に行く前に、トオル君にメールを打ったの。

『ごめんなさい。私、待てなかった。もう、会えない』って」


だけど、その直後、歩道橋でトオル君に似た人を見掛けただけで、私は走り出してしまっていたんだっけ……。

それを思い出すと、メールに託した決意が揺らぎそうになる。

「トオルはなんて?」

私は首を横に振った。

「直ぐに、電源を切ったから……わかんない。

でも、もう会わない」