「誘うよ、きっと!

藤枝君はきさくな人だもん。

誘うと思うよ。誰でも」



反論しながらふと目線の先の窓越しに、見覚えのある婦人がタクシーから降りてくるのが見える。



とても焦っているらしいその人は、財布からバラバラと小銭を落としてしまい、急いで道路に散らばってしまった小銭を掻き集めている。