「かずにぃ、風邪引くよ。私、大丈夫だから、上着、着て?」

「心配しなくていい。お前を抱きしめてるからあったかいよ」

3時間と言っていた救助はなかなか来ず、次第に何となく息苦しくなってきた。


かずにぃがもう一度、電話ボタンに手を掛けた頃、エレベーター内の電気がつき、エレベーターが動き始める。


「大丈夫ですかぁ?」

外から扉が開く。

「奥様は、大丈夫ですか!?」

私は救急隊員に担架に乗せられると、気が緩んだのかそのまま気を失うように眠ってしまっていた。