「お願い。藤枝君、振り向いて……」

思わず両手を握り、言葉に出してそう呟いてしまっている自分自身に驚く。



私……

今、何を言ったの?

藤枝君とお話しができて嬉しかった。

藤枝君と一緒に星空を見上げて、ほんのりと心が癒された。


私、すごく……幸せだった。

彼と過ごしたほんの少しの時間が、私の心に温かい何かを灯してくれたような気がする。


だけど、藤枝君が振り返るなんてこと、きっとありえない。

諦めながら、家の入ろうとしたとき、驚いたことに、藤枝君がこっちを振り向いてくれたんだ。