「お前が初めてあいつを連れてきた時かな……。

あいつの制服に『TORU FUJIEDA』ってネームが入ってて、それで、気付いた」

「気付いたって……」

私から目を逸らして、かずにぃは立ち上がると、カチャカチャと腕時計をつけ始める。

「以前からヤツの名前は知ってたよ。

教授の学会の準備で研究の成果を英文に直したりしてたんだ。

その時、他の文献に目を通す機会があって、それで、『TORU FUJIEDA』の名前を何度も見て……」


バスルームの方に一瞬姿を消すと、普段着に着替えながら、かずにぃは話を続ける。