かずにぃはソファから立ち上がると、まるで何も見ていなかったかのように、私に手を差し伸べる。

「腹減らないか、ハルナ?何か食いに行こう」

かずにぃの反応に私は直感する。

「かずにぃは知ってたんだ……。トオル君がどういう人なのか……」

「……知ってたよ」

「いつから?いつから彼の……トオル君のこと知ってたの?」


かずにぃはソファに座りなおすと煙草を咥え、テーブルの上にあったライターに手を伸ばす。

そして、火をつけようとしたところで、私と目が合い、慌ててもみ消し煙草を置いた。