「初めまして。トール・フジエダ。ご高名はかねてから……。直接こうしてお目に掛かるのは初めてですが。私は、グレアム・マッカーシーと申します」

慇懃な挨拶をした後、マッカーシーは握手を求めて、右手を差し出す。

僕がその手を無視すると、彼は引っ込めたその手で鼻の上に乗せた銀縁メガネを少し持ち上げながら、その奥に潜む冷酷な目で僕を凝視し、冷笑する。

「あなたの大切なお友達は車の中でお休み頂いていますから、ご安心を。

まぁ、そのままあの世までお休み頂くか、仲良く手を繋いでお帰り頂くかは……あなた次第ですがね」