「……ジーザス!」

自分のふがいなさと怒りから、シートに携帯を投げつけると、突然重くなった体をどさりとシートに沈める。


……だけど、キンケイドが電話できた状況を考えると、彼らはリンカーン像の前で僕が現れるのを待っている。

一刻も彼らを救出に向かわなくては!

カバンを小脇に抱え直し、ドアを開けると記念館目指して走り出そうとした。

「トール・フジエダ!待って!!」

驚くようなバイクの爆音と、背後から僕の名前を呼ばれて振り向くと、大型バイクに跨り、真っ赤なライダースーツに身を包んだ女性が、丁度、ヘルメットを脱ごうとしているところだった。