「おい。お前!」

キンケイドは、アタッシュケースの蓋を乱暴に閉じると責任者を指差した。

「ケッチャムさんはよぉ!つまりは退院してぇって言ってるんだよ!!

患者の意志を無視してもいいってぇのか?

お宅んとこのインフォームド・コンセントはどうなってんだよ!」

「随分な鼻息ですねぇ。Mr.キンケイド。

わが社にはそれに優先するリスク管理ってものがあるんですよ」

男はクスリと笑うと、懐に手を素早く忍ばせた。