保険が下りなければ、彼らにとってもケッチャムが入院するメリットは無く、彼らはケッチャムの退院を快諾するだろう。

それが、シナリオの大方の筋書きだった。

しかし、その筋書きを考えながらも僕は警戒していた。

悪名高いC&H社のラボだ。

このガードマンの数は異常だし、何より、いきなり同席し、腕を組みながら、不敵な笑みを浮かべるこの責任者と名乗る男の威圧感は何だ?

リスクはあったものの、僕は強引なシナリオを書いた。

今思えば、時間が無いと言う思いが、このシナリオの詰めを甘くし、見切り発車をしてしまったのかもしれない……。