空港に着くと、既にキンケイドは着いていて、紺のスーツに身を包んで、VIP専用ロビーで待ち構えていた。

「打ち合わせ通り、スーツで着てくれてありがとう。

ところで今日のアポは取ってくれた?」

「久し振りに会った旧友にハグなしで、着く早々、それかい?!」

キンケイドは、手を広げて肩を竦めると、オーバーなアクションで失望したと言ったポーズを取る。

でも、僕は彼に構っているゆとりが無い。

「頼んでいた資料は?」

「……はいはい。おぼっちゃま、これですよ」

キンケイドが持って来た資料にざっと目を通し、「じゃ、行こうか」と彼が用意した車に乗り込んだ。