深い洞察に満ちたその目に導かれて、何度か寺に足を運んだ。

老師は何を言うでもなく、ただ黙って僕と向かい合って食事をしたり、座禅を組んだり、他愛の無い話をしたり、居心地の良い空間と時間を僕に与えてくれた。

「老師には感謝しているんだ」

「そう……」

ハルナは、ぽーっと上を向きながら、「あの……もひとつ、質問してもいい」と、尋ねる。

「いいよ」

僕は緩やかなカーブでハンドルを切りながら彼女の質問に耳を傾ける。

「トオル君は、その……女の子と、エッチ……とか、したことあるの?」

「うわぁっ!!」

僕は危うくハンドルを切り過ぎるところだった。