「こんにちは」

突然、トオル君がを半纏を着て、庭を掃いているおじいさんに挨拶をすると、そのヒトはニコニコしながら私達の方に近づいてくる。

「ほぉ~。トオル君、また随分カワイイ子を連れて。でぇとかの?」

「そうですよ。僕の彼女ですから、獲らないで下さいよ。老師」

えー!えー!ええーー!!!

このお掃除のおじいさんみたいなヒトがエライヒトなの?

私は、想像したエライヒトのイメージとはかけ離れたこのおじいさんに驚いてしまう。

「早速ですみません。あの……」

「おお。風呂なら出来とるよ」

「すみません。ありがとうございます。ハルナ、お風呂に入っておいでよ」

「そうそう。それがえぇ~」

トオル君は私の肩に手を掛けながら2、3歩進み、突然歩みを止めると、くるりとおじいさんの方を振り向き睨みつける。

「老師、覗かないで下さいよ」