その時、私のすぐ後ろに立って、ハトにエサをあげていた子供が手を滑らせて、屈んでいた私の頭にエサをざーっとこぼしてしまう。

沢山のハトが、私めがけて飛んで来る。

「い、痛い!助けて!トオル君!!」

私はエサとハトを振り払いながら駆け出した。

「ハルナ!」

トオル君は、急いで私に駆け寄ると、セーターを脱いで頭に被せてくれた。

「はぁー。びっくりしたよ。大丈夫?」

トオル君は震える私の頭をセーター越しにずっと「よしよし」って言いながら撫でてくれた。

恐かった……。

私はトオル君の温かい腕の中で、そのままトオル君を抱きしめる。