トオル君は車を路肩に寄せると、私たちは外に出た。

「日本に来てここの景色のあまりの美しさに感動したんだ」

トオル君の歩調に合わせて必死に小走りになっている私に気付いて、彼は歩調を緩める。

「鎌倉・・・・・・高校前、駅?」

トオル君はそのまま改札口を通り抜けた。

「車掌さんは?切符は??」

トオル君は微笑んで、あっけらかんと答える。

「車掌さんは江ノ電を運転中。ハルナ、あっちを見てごらん」

トオル君の指す方向には、穏やかな冬の光を弾く広々とした海が広がっていた。

「うっわぁ!すごい!!すごい!!」

私はあまりにも美しい景色に「すごい」以外の言葉が思いつかなかった。