「昨晩って、じゃぁ、トオル君、お葬式は?」

「いいんだよ。おばあ様は、ひどく僕を嫌ってた。それに遺言でも来るなって言われてる」

トオル君はしばらく、黙り込んだ後、ためらったように言葉を続ける。

「ハルナも気付いただろう。

あの家族の中で僕だけが異国の人間なんだ。

そんな僕をおばあ様は最期まで、拒絶した」

「トオル君……」

トオル君のやるせない声に涙が溢れる。

「ハルナ、君が泣くことじゃないよ」

トオル君は左手を伸ばすと私の髪を優しく撫でながら微笑んだ。

その微笑の下に涙を隠しながら。