私達が扉を開けて、大きな広間を横切ろうとした時、「あなたなの?」と階上から声がして40歳位の品の良い美しい女性が降りてきた。

長い黒髪を後ろで束ね、ネグリジェにガウンを羽織ったその美しい女性に、トオル君は近寄り、ハグする。

「誰かが入った形跡があるなと思ったら、母さんだったんですね。久し振りです。どうして、ここへ?」

え!!お、お母さんなの?

トオル君のお母さんは、トオル君の後ろにいた私に気が付いたようだ。