「ハルナ……!?」

私は、とっさにトオル君から逃げようと、後ろを向いて走り出す。

でも、足の速いトオル君に捕まってしまう。

トオル君は、私の手を掴むとそのまま胸に引き寄せ、きつく私を抱きしめる。

「ハルナ……。頼むよ。逃げたりしないで」

トオル君の広い胸。

息が出来ないくらい強く抱きしめられて、このまま死にたいと本気で思った。

触れた指から、吐息から、彼の気持ちが流れ込んでくる。